最高裁判所第一小法廷 昭和40年(オ)1489号 判決 1967年1月26日
上告人
甲
右訴訟代理人
桜木富義
被上告人
丙
(ほか二名)
右三名訴訟代理人
水崎幸蔵
川崎力三
主文
原判決を破棄し、第一審判決中反訴請求に関する部分を取り消す。
本件反訴を却下する。
訴訟の総費用は被上告人らの負担とする。
理由
職権をもつて調査するに、被上告人らが、戸籍上の母である上告人を相手方として提起した本件反訴が、上告人の夫である訴外亡乙と被上告人らとの間に父子関係が存在することの確認を求める訴であることは記録上明らかである。しかし、子より提起する父子関係存在確認の訴においては、右父子関係の主体たる父のみが被告たる適格を有するものというべく、父が死亡したからといつて、戸籍上の母を被告として右訴を提起することは許されないものと解すべきである。したがつて、本件反訴は、当事者適格を欠く者を被告とするものであり、不適法として却下を免れないというべきである。
よつて、上告理由について判断を加えるまでもなく、民訴法四〇八条、三九六条、三八六条にしたがい、本件反訴を適法とした原判決を破棄するとともに、本件反訴請求を認容した第一審判決を取り消し、本件反訴を却下することとし、訴訟費用の負担につき同法九六条、八九条、九三条を適用し、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(長部謹吾 入江俊郎 松田二郎 大隅健一郎)